3月23日投開票の福岡県知事選挙に向け、FBSでは「さあ、投票へ」をキャッチフレーズに投票率アップを目指した企画を放送します。今回のテーマは、コロナ禍を乗り越え、活気を取り戻している「インバウンド」の光と影です。

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8日、九州最大の歓楽街、福岡市・中洲の屋台を訪ねると、多くの観光客で満席の状態が続いていました。

■韓国からの観光客
「福岡 焼きめんたい スゲえな」

営業時間の短縮を余儀なくされたコロナ禍を乗り越え、活気を取り戻しています。現在は、コロナ禍前と比べても、客は2割から3割ほど増えました。それを支えているのは、福岡を訪れる外国人観光客、インバウンド客の存在だといいます。

■中洲十番・田中博臣 店主
「正直 ここまで外国人(観光客)が戻ってくるとは思っていませんでした」

去年の春ごろには、1か月の売り上げが過去最高となりました。

この屋台では、英語や韓国語など21の言語でメニューが表示される2次元コードを用意しています。さらに、留学生をアルバイト従業員として雇うなど、インバウンド客を意識した対応を整えてきました。

■田中店主
「これだけ来てくれるのはうれしいですし この外国人に対応しながら営業しないと もったいないと感じている 福岡県全体が潤うように 福岡市中心だけでなく 食材とか観光地をアピールしてほしいと思います」

インバウンド客の増加は、コロナ禍で打撃を受けた飲食店に大きな恩恵をもたらしています。

去年、福岡に宿泊した外国人は延べ691万人で、過去最多を記録しました。全国では6番目に多くなっていて、インバウンド客に選ばれていることが分かります。

旺盛なインバウンド需要について、福岡県知事選の各候補者はどう考えているのでしょうか。

吉田幸一郎氏(45)は「地域の経済を活性化させるため、観光による税収を増やす制度を考えていければ」としています。

服部誠太郎氏(70)は「欧米からの観光客も呼び込み、県内で宿泊してもらえるような取り組みをしていきたい」としています。

藤丸貴裕氏(48)は「県が設けている宿泊税を廃止し、さらに観光客を呼び込みたい」としています。

新藤伸夫氏(76)は「宿泊税を廃止し、少しでもリーズナブルに泊まってもらいたい」としています。

各候補者は、インバウンド客のさらなる呼び込みを進めたい考えです。

一方、全国各地で問題になっているのが「オーバーツーリズム」です。福岡でも、悲鳴を上げている場所がありました。

巨大な釈迦涅槃像(しゃかねはんぞう)で知られる福岡県篠栗町の南蔵院では、観光客が集中しすぎることで起こる「オーバーツーリズム」に直面しています。特に頭を抱えているのが、マナーを守らない一部の観光客の存在です。

■樋口淳哉記者
「(数時間前に)掃除をしたばかりですが すでにゴミが」

使用済みのトイレットペーパーがゴミ箱からあふれることも。こうした状況が続くため、日々の掃除が欠かせません。ほかにも。

■南蔵院・林覚竜 副住職
「ここに子どもを座らせて 上に乗せて写真を撮ろうとしたら これがゴトンと落ちた 欠けていますね」

さらに、禁止エリアで動画を撮影する観光客も少なくありません。

■林 副住職
「No Movie!」

注意すると、暴言を吐かれることもあるといいます。

■林 副住職
「私個人としては 『そこまで厳しくしなくても』と思う反面 見逃すともっと迷惑行為をする人が出てくる ほかの人たちも嫌な気分にならないように」

英語などで表記した注意書きも設けましたが、景観を損ねるため、設置したくないのが本音です。

南蔵院の住職は。

■南蔵院・林覚乗 住職
「このままでは境内が破壊されます 現場を一回見てほしいと思う ひどいところを」

福岡県の次のリーダーには、インバウンド需要のさらなる取り込みだけでなく、「オーバーツーリズム」にも目を向け、効果的な対策を講じることが求められます。

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