乗客は約11時間にわたり、飛行機の中に缶詰状態でした。9月4日、フィリピンのマニラから福岡に向かっていた『セブ・パシフィック航空』の旅客機が、福岡空港の“門限”に間に合わず、マニラに引き返していたことが分かりました。
映像には、福岡空港への着陸を試みるも、再び上昇する航空機の様子が映っています。
国土交通省福岡空港事務所によりますと、乗客125人を乗せたフィリピンの格安航空会社『セブ・パシフィック航空』の旅客機は4日午後8時ごろ、福岡市博多区の福岡空港に着陸する予定でした。
航空機の位置情報を追跡するウェブサイトを見てみると、福岡空港に近づいた機体が再び離れていくのが分かります。旅客機は、何らかの理由で着陸をやり直そうとしたということです。
その時の様子を、視聴者のカメラが捉えていました。
■撮影した人
「空港の滑走路に入ったくらいで、着陸を諦めて上昇し始めた感じです。(Q. 着陸はしていないということですよね)していないですね。50メートルくらいまで降りてきて、エンジン出力をあげて、また上昇していったような感じです。」
■鬼丸ゆりか記者
「セブ・パシフィック航空の飛行機は福岡空港に着陸せず、北九州空港に向かいました。」
福岡空港上空の混雑や燃料切れの恐れもあり、目的地を北九州空港に変更した旅客機でしたが、北九州空港では入国手続きが出来ず、福岡空港の“門限”である午後10時も過ぎたため、福岡空港への着陸を断念しました。
結局、旅客機はマニラに引き返し、乗客は11時間にわたり、機内に缶詰となりました。
市街地に近い福岡空港では騒音対策のため、離着陸が可能な時間を原則午前7時から午後10時に限っています。
そのため、“門限”を過ぎた国内線の旅客機が福岡空港に降りることができず、出発地に引き返したり、北九州空港に代替着陸したりすることもありました。
しかし、国際線でのケースは「極めてまれ」だと、専門家は指摘します。
■航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗 さん
「(国際線は)着陸においては、門限の1時間半から2時間前には基本的に着陸するという運用がされていたので、そういった中でこういった形で国際線の着陸ができずに引き返したというのはあまり例がないと思います。一般的にはありえない、そういう状況だと思います。」
今回のケースについては、「飛行機の燃料不足が一因だったのでは」との見方を示しました。
■鳥海さん
「例えば緊急のトラブルが起こって、空港が閉鎖されるなどといったことはいつも考えられますので、ある程度の(燃料の)予備は乗せておく必要があった。これを積んでいなかったということが今回一番の要因だと思います。」
国土交通省福岡空港事務所によりますと、飛行機の燃料が足りないなどの事情がある場合、順番待ちがあっても優先的に着陸を受け入れる準備はあるそうです。しかし今回、航空会社から、そうした要請はなかったということです。
航空・旅行アナリストの鳥海さんは「時間帯的に限られている空港に着陸するのはリスクがある。優先着陸の要請を出して、しっかり福岡空港に着陸させる体制をとるべきだった」と指摘しています。
最新のニュースは https://www.fbs.co.jp/fbsnews/ をご覧ください。
twitter FBS福岡放送ニュース(@FBS_NEWS5)でも発信中。
https://twitter.com/FBS_NEWS5