警察官の息子が自殺したのは「パワハラ」が原因だとして、県や警察組織と闘ってきた父親。亡くなってから9年がたち22日、和解が成立しました。

【父・木戸一仁さん】「私の中ではまだ生きてるし。毎朝こうして仏様に手を合わせるけど、数珠もまだ使いたくないし、まだまだ生き続けてるから」

9年前、当時24歳の息子、木戸大地さんを亡くした、一仁さん。大地さんは2009年に兵庫県警の警察官に採用され、2012年からは機動隊で山岳救助などを担い多くの表彰を受ける優秀な隊員でした。

しかし、機動隊の寮で、自ら命を絶ったのです。

■先輩に宛てた遺書には「あなたの思い通りになってよかったですね」と殴り書き
【一仁さん】「(先輩)隊員に向けた遺書っていうのは、私たちに書いた遺書とは全然違うんです。殴り書きでね、『あなたの思い描いた通りになってよかったですね』」

機動隊の、ある先輩隊員にあてた遺書です。職場でのパワーハラスメントを疑った一仁さんは兵庫県警に調査を依頼。しかし、返ってきたのは大半が黒塗りの報告書と、「自殺の原因は分からない」という答えでした。

ところが、内部資料には、遺書を宛てた先輩隊員からの「パワハラの証言」が記されていたのです。

【同僚隊員】「他の隊員ならそこまで言われないようなことでも、厳しく叱責されていた」
【同僚隊員】「小隊長、A隊員による明らかなパワハラであると思う」

一仁さんは、自殺は先輩隊員らのパワハラが原因だとし、兵庫県に約8000万円の損害賠償を求める裁判を起こしました。

2022年、1審の神戸地裁は、「違法なパワハラ行為に該当する」と認定し、兵庫県に100万円の支払いを命じました。しかしパワハラ行為と自殺との因果関係は認めず、双方が、判決を不服として控訴しました。

■県は「真摯に反省し謝罪する」と明記 和解成立へ
そんな中、22日、「和解」という結末を迎えました。

「警察」という組織を相手に訴えを起こしてから7年。いったいなぜ…

【木戸一仁さん 3月20日】「この事案そのものが兵庫県警機動隊という組織の塀の中での出来事だったので、私たちが闘う材料は、兵庫県警の監察が調べた聞き取り調査しかない。この分全部を闘ってきて、これ以上の証拠はもう出せない。大地、ごめんな。いろいろ考えたけど和解に応じんといけんと思うけど、いいかな」

和解では「県は、先輩隊員が大地さんに対してパワハラを行ったことにより精神的負担を加えたことを真摯に反省し謝罪する」と明記されました。

ただし、パワハラと自殺の因果関係は認められず、慰謝料は142万円と大幅に減額されました。

【木戸さんの代理人 市川守弘弁護士】「木戸大地君に対して精神的負担をかけてしまったという点について謝罪する一文が入りました。事実上勝った」

【木戸一仁さん】「その時にちゃんと認めてくれれば、こんな長い8年半という年月も、お金も使う必要なかったんです。私たち遺族が苦しむ必要はなかったんです。これを機会に兵庫県警は絶対に変わってもらわないと困る。でないと大地の死は“無”になってしまう」

和解を受けて兵庫県警は「組織として重く受け止めている。精強な警察組織の構築に努めてまいりたい」としています。

カンテレ「newsランナー」2024年3月22日放送

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