1日、多くの人が降り立った東京・町田市にある鶴川駅。
目指していたのは、険しい場所にあることから「天空の城」と呼ばれるスタジアム。
駅からは、歩いて1時間ほどかかるという。
こうしたアクセスの悪さでも注目を集めるスタジアム。
課題も抱えつつ、盛り上がりを見せている。
この日行われたのは、明治安田J1リーグのFC町田ゼルビア対アルビレックス新潟の試合。
試合開始の5時間も前から、街は熱く燃えていた。
向かう先は、“天空の城”と呼ばれるスタジアム。
その場所についてサポーターは、「結構な山の上といいますか、山道を登山する感じ」と語る。
実際に歩いて行ったことがあるというホームチームの町田サポーターすら、「地獄でした。もうずっとね、坂。本当に山だった」と音を上げるほどだという。
それでも、初めてスタジアムを訪れるという相手チームのサポーターは、「山登りするって聞いて、『ここ本当にスタジアムに続いているの?』みたいな写真が流れてくるので、さすがに盛ってるんじゃないかと・・・」と半信半疑の様子。
公式ホームページで紹介されている「セルフ男気コース!!」は、約1時間かかる距離を歩いて向かう。
駅の近くは歩道も整備されていたが、進むにつれ、人1人が歩くのもやっとの幅に。
道順を調べながら歩くこと50分、目の前に現れたのは山。
さらに進んでいくと思わず、「え、ここ?」と道に迷ってしまった。
山道で迷いつつ、麓(ふもと)からさらに15分。
森の奥から、かすかにアナウンスが聞こえてきた。
1時間5分ほど歩いて、スタジアムに到着した。
開幕から快進撃を続けるFC町田ゼルビア。
試合は、1対3で敗れたが、得失点差で首位をキープしている。
2024年、J1に初めて昇格し、多くのサポーターが試合観戦に来るようになったFC町田ゼルビア。
2023年までは、天空の城ゆえに、入場客を集めるのに苦労していたという。
FC町田ゼルビア広報部の岡田敏郎部長は、「スタジアムに来るには足が遠のくというか、『じゃあ行ってみよう』という環境ではなかったと思う」と語る。
そこで、アクセスの悪さを逆手にとって考え出したのが、RPGの世界観。
やるからには徹底的にと、看板や案内マップもゲームの中に入り込んだように作りこまれている。
町田サポーターは、「いろんな広場があって、子どもたちも楽しそうに過ごせる。城をイメージしているので、イベントがたくさんある」と話す。
こうした作戦に加え、J2で予想外の快進撃を見せてJ1に昇格したことで、来場者も一気に倍増。
そのため、スタジアム近くの道路が渋滞になる現象も起きていた。
近くの住民によると、スタジアム周辺では、試合がある日は大渋滞が起きがち。
駐車場が少なく、すぐ満杯に。
車や直行バスで、渋滞が発生しているという。
一方、多くの人が訪れるようになったことで、うれしい効果も出ている。
試合の後、周辺の店はサポーターでにぎわっていた。
地元で人気の居酒屋も、ゼルビア効果を実感している。
やきとり居酒屋十八番の中野一樹店長は、「試合開催日では、3割から多くて4割くらい売り上げが伸びている。本当にゼルビアのおかげだと思っている」と語った。
悪すぎるアクセスが、快進撃とともにチームの個性に。
熱いシーズンが続いている。
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